それは今から40年前のこと、ペパー軍曹が楽団をつくりました。
そのバンドの自由で楽しい演奏は、見る人々に笑顔を運ぶとうわさが広まり
たくさんの人から「うちの村でも演奏してほしい」と言われるようになりました。
そこでペパー軍曹は、楽団を引き連れて、演奏旅行に出かけようとしていたその時、
ひとりの男がやってきて、こう言いました。
「ぼくはカイトという平凡で孤独な男です。
でも先日、宝の地図を見つけました。
そこには“音楽は力となり愛となる”と書かれていました。
ペパー軍曹、ひとつお願いがあります。
ぼくにあなたの楽団を貸してください。
演奏旅行をしながら、その“音楽“の力で、ぼくはきっと宝物を探しあてます。
あなたにも、たくさんの宝物をおみやげに持ってきますよ」
ペパー軍曹はなにも言わずに、このカイトという男の顔を見つめました。
カイト氏はさらにつづけます。
「お願いです。
こんなたいくつな人生はまっぴらだ。
宝物が見つかれば、なんでも思い通りになります。
楽団だって立派にしてお返ししますよ」
男の話を静かに聞いていたペパー軍曹は、しばらくしてこう言いました。
「よかろう。おまえにわたしの楽団を貸すことにしよう。
ただし条件があるぞ。期限は40年だ。
そのときに、おまえがこの旅で何を見つけたのかを教えてほしい」
そう言うと、ペパー軍曹は楽団の前に立って指揮棒を振りました。
その曲の題名は“Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band”。
「これが今日から、この楽団の名前だ。
“わたしが作った孤独なおまえのバンド”。どうだ、いいだろう?
では40年後の今日、ここで会おう。」
(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)
そうしてペパー軍曹と別れたカイト氏は、さっそく楽団を引き連れて、
宝探しの旅に出ることにしました。でも、いざ出発しようとすると、
どっちに向かって進んだらいいのかすら、まったくわかりません。
カイト氏は、いきなり不安になってしまいました。
「いったい、こんなぼくに宝物なんか見つけることができるんだろうか。
孤独で、平凡で、なにもできないぼくに」
そこに楽団の音楽を聞きつけて、こぶたのビリーがやってきました。
「友だちの助けがあれば、なんとかなるさ。
ほんの少し友だちが助けてくれれば、心も軽くなる」
そう言うと、こぶたのビリーは楽団に加わって、ブーブーとラッパを鳴らしました。
ビリーの音が加わると、楽団の音楽は、ますますすてきになりました。
カイト氏は、その楽しい音を聞いてたら、なんだか元気が出てきました。
「うん! 友だちに助けてもらいながら、がんばってみるよ」
こうしてビリーが、なかまに加わりました。
(With A Little Help From My Friends)